病弱体質

学部3年の終わりに、研究室への配属が決まり、研究室生活がスタートする。

不安を胸に抱えて入ってみるも、研究が面白くなり大学院への進学を希望する者や、期待いっぱいで入ってみたら、研究を毛嫌いするようになって就職する道を選ぶ者等様々であるが、うちの研究室では圧倒的に後者が多い。

 

新しく入った3年生は、研究室のメーリングリストに大学のメールアドレスを登録させられる。

まだこの時点ではメーリングリストのメールは新鮮であるから、受信したメールをくまなく読む。そして、あることに気が付く。

「この研究室はスポーツが売りの一つであるはずなのに、なぜ多くの先輩が日々体調不良になるのだろう?」

 

メールは、8時頃から朝礼が始まる8時半までの間、「体調が悪いので様子を見てから向かいます」といった遅刻の報告として相次ぐ。この背景にあるのは、この時間に遅刻する趣旨のメールをしさえすれば、周りに迷惑をかけず、さらには教授からのお咎めもなく、朝をのんびりできるのだ。

また、この時間を過ぎてしまった場合、「体調不良のため欠席します。連絡が遅くなって申し訳ございません」と丁重に送りさえすれば、不問とされる。

夜中まで実験を強要されたとしても、朝礼への参加を必須とされるなら、温和な方法で逃れたくなる。

 

准教授からはときにそれとなく指摘されるものの、教授が大目に見ている背景には、教授のお気に入りがかなり頻繁に休むからだろう。

そして、半年、一年が経つと、先輩たちの遅刻メールに倣って疑問に思っていたメールを送るようになるのである。