マスク
うちの研究室の教授は、いわゆるヘビースモーカーである。
セミナーが長くなると、「休憩しましょうか?」と学生を思いやるかのように言いつつ、本人は喫煙所へ向かう。ニコチンが切れたのだ。
最近では、大学内の灰皿が撤去されて完全に禁煙環境なので、通り向かいのコンビニへと行かざるを得ない状況だ。
「いい機会だから禁煙すればいいのに。」
誰もが思うところではあるが、喫煙には信念があるのか、ただ中毒になっているのか、決して止めようとしない。
さて、昨今の新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、
研究室内でのマスク着用をうるさいほど注意される
ようになった。
そんなこと言われても、売られておらず、手に入らないのにどうしたらいいのか。
マウスを扱う実験をするときはマスクをし、手袋をはめて行うので、研究室にはマスクのストックがある。
そこで、研究室にあるマスクを付けていたら、やっぱりクレームが来た。
「研究室で購入しているのは動物実験用です。このままいって、マウス室に入室する際のマスクが無くなっては一大事です。逆に言うと、そのために獲得した予算で購入しています。」
言わんとしていることはわかるけれど、研究室内で着用を強制するなら、研究室で用意するのが筋だろう。
それとも、開店前からドラッグストアで並んでくると言ったら、コアタイムは免除されるのだろうか。
仮にマスクをせず、COVID-19に罹患した場合、学生間での蔓延を心配しているわけではないだろう。
「新型コロナウイルスに感染した学生が所属する研究室」という外部からの評価や、教員の中でも、年齢的、さらにヘビースモーカーである自身への感染を恐れ戦いているから、「マスク、マスク、マスク」と連呼するに違いない。
そもそも自粛が叫ばれているのだから、研究室を閉鎖してテレワークにしてしまえばいいのに。