2017-01-01から1年間の記事一覧

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細胞を培養するとき、培地と呼ばれる液体にウシの胎児由来の血清を加える。 血清は、ウシ由来であることから個体によって成分が異なり、 1本500 mLで4万円前後と高価であることから、失敗できない買い物である。 そのため、飼っている細胞に合うかどうか、購…

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「*(アスタリスク)」は、研究をしている人間にとって非常に重要な意味を持つ。 グラフに付くか、付かないか。 統計処理の結果に一喜一憂してしまう。 この研究室では、「*」は自身の研究の方向性を決める以上の効力を発揮する。 「*」の付いた結果を出せば…

タブー

大学、ましてや大学院までくると、校則に縛られることはほとんどない。 しかし、研究室によっては理解の範疇を超えるようなルールが設定されている。 この研究室もその場の流れで、あり得ないルールができたらしい。 経緯を知っている先輩は誰もいないけど、…

¥40,000,000

この研究室は恥ずかしがり屋の僕には丁度良い。 ちょうど一年前にこの研究室に赴くことになり、 盛大な歓迎で迎えられたけど僕には歯痒く、 今後も今のように窓辺で頭から布を被って研究室をひっそりと見守っていたいなあ。 それに、お客様が来て紹介される…

アクセプト

雑誌に論文が受理されるということは、研究における一つのゴールである。 「アクセプト」の一報が届いた瞬間、研究室中が歓喜に沸くものだと思っていたが、 この研究室ではそうではなく、いくつかの奇妙なパターンに分類される。 1. 腫物 話題に挙がることは…

コミュニケーション

研究室間の集まりで、他の研究室の教授、准教授、助教の先生方が杯を交わしながら会話しているのを見ると、見てはいけないものを見てしまったような奇妙な感覚になる。 その理由は、うちの研究室では教員たちが談笑していることを見たことがないからだ。 会…

イントロダクション

人生は選択の連続である。 選択肢の中からどれを選ぶかは自分次第。 例えばどの大学に入るか、この選択は今後の人生において非常に大きな影響を及ぼす。 大学と同様に重要なのが、配属される研究室だろう。 大学の研究室、特に理系では研究室が生活の大部分…