マグネット

研究室のメンバーの所在地は、研究室に入る前に掲げられている個人の名前が書かれたマグネットで把握される。

多くの研究室がそうであるように、うちの研究室でも帰る時には「帰宅」に、研究室に来た時には「在室」に、お昼ご飯を食べに行く時には「食事」等といったように、各々のマグネットを動かす。

全員で15名以上の研究室となると、全員が「在室」になっていることは稀である。病欠もいれば、就活や実習等もあるし、教員も講義や会議等で不在になるからである。特に、「病弱体質」

 

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で紹介した通り、うちの研究室はルールに則って休みならざるを得ない場合が多い。

管理されている気にならなくもないが、このマグネットによって研究室の内面が露呈させているときもある。例えば、夜中に多くの学生が「在室」となって電気が煌々と点いている場合はブラック度を示すし、長期に亘って「帰宅」から動いていない場合は精神面から自宅療養になってしまっている学生の存在を疑わせるには十分である。

ここまではうちの研究室に限らず、多くの研究室に言えることだろう。

 

しかし、うちの研究室で面白いのは、マグネットが貼ってあるホワイトボードを伝言板のように使っている点だろう。

特に、准教授は自分のものかのように多用する。何か気になることがあれば、ホワイトボードの余白に記入する。用件が済んだら消してくれればいいのだが、そこまで気が回らない。消さないどころか、ときに油性マジックで書いてくれるので、学生側で消そうにも消えない。この無神経力に太刀打ちできる者はそうそういないだろう。

また、【メール】

 

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でも書いたが広い居室ではないので、用事があるならその学生の机に行けばいいだけなのに、「黒田まで」(仮名)という准教授独自のマグネットを作って、用事がある学生のマグネットの下に貼り、自分のところへ来させるという方法をとる。業績以上に上から目線で癪に障る点の一つである。

あるとき、頭にきた先輩がこの方法を逆手に取り、「黒田まで」(仮名)マグネットを石谷教授(仮名)のマグネットの下に貼るといったいたずらを敢行した。その結果、石谷教授が黒田准教授のところへ行き「なんですか?」と伺いを立てたのだった。真に受けて准教授のところに行く教授も教授だが、それでも「黒田まで」(仮名)マグネットを止めない准教授も准教授である。

卒業までには先輩に倣ってやってみたいものである。