朝礼

研究室の朝は、朝礼から始まる。

 

いつの頃からか始まったこの朝礼は、「葬式」とか「お通夜」と揶揄される。

 

研究室員が全員集まるにはちょっと狭い部屋で教授を待機するのだが、重い空気から言葉を発する者はおらず、聞こえてくるのは遅刻ギリギリで来た者の押し殺そうとしている息切れのみである。

 

教授が登場し、ボソッとした挨拶で朝礼が始まる。

下の学年から順にその日にやることを一言ずつ告げていくのだが、お悔やみを言うお通夜の方がまだ人間味を感じさせる。

 

朝礼の名目は、その日やることを各自が把握し、機器のバッティングを避けることらしいが、機器については教員や技術員が言うわけではないので、学生からしてみればよくわからない。

 

朝、一堂に会することは、長時間行動を共にし、時間が乱れがちな研究生活にとっては良いことだと思うが、気の利いたことを言われるわけでもなく、沈んだ雰囲気から憂鬱になるだけで、学生にとっては苦痛以外何物でもない。

 

朝礼が終わり、廊下に出たときの解放感を味わうために朝礼を耐え忍ぶ。