ディスカッション
研究室には、蜃気楼のように現れては消える教員から指示が数多い。
それもそのはず、教員の思い付きで学生に課し、一年後には忘れているのだから。
そんな中、マイナーチェンジを重ねながらも生き残っているものの一つとして、
夕方に行われる「ディスカッション」がある。
この「ディスカッション」は、毎週火水木の夕方に行われ、
一週間で得た結果を教員に報告し、翌週の方針を決めるのである。
聞くところによると、研究室ができた頃はかなり厳しい調子で行われ、
ディスカッション中に涙ぐむ学生や、
自分の報告する曜日に決まって体調不良になる学生もいたらしい。
・教員が出張の場合
一人でも教員がいれば予定通り行う。
3人ともいない場合はなし。祝日もなし
・学生が講義などでいない場合
自己申告により曜日をかえる。どの曜日も参加できない場合は教授が個別対応
というような内規があるようだが、
やりたがり教員は
先週の木曜日discussionグループの人でdiscussion(金曜に行われた)に出られなかった人は
今週月曜日か火曜日に出てください。
今週は祝日で木曜discussionがないためです
という指示を予め出すのだから、ルールなんてあってないようなものである。
「学生が間違った方向で研究を進めないように最短の道を示す」
というような理由から始まったディスカッションであるが、
一週間単位での報告であることから短期間の目標のみに注視しがちで、
「元々この実験は何のためにやっているんだろう?」と我に返るときもある。
そして、「ディスカッション」とは名ばかりで、
一週間の結果を報告し、一通り教員たちが話し合った後は、
「では、来週はこうしましょうか」と同意を得るかのような台詞で締めに入るが、
結局は教授の一方的な指示なのである。
つまり、「では、来週はこれをしなさい」である。
最短の道として指示通り実験するも、
2018年に受理される論文は遂にゼロかもしれない。