気遣い

2月25日

国立大学の前期の入学試験が行われる日である。

大学構内への立ち入りが禁止されているため、公明正大に研究室を休める有り難い日でもある。

一方で、教員たちはこの時期忙しいらしく、試験監督に判定会議、場合によっては採点も担当する。

また昨今、流行の兆しを見せている新型コロナウイルスの対応についても、教授会などで話し合う必要が出てきているのだろう。

 

教員の中でも特に教授は忙しそうで、会議後はしばらく教授室に来るな、と言い出す始末である。

会議の直後は溜まったメールの処理に充てたいらしい。

指導している学生の研究の相談よりも、メールの確認の方が大事になってきている時点で、研究者ではなくなってきているように思われる(そんなことはもちろん言えないが)。

 

会議が終わった教授が教授室に入るためには、お茶室を通らなければならない。

学生からすれば、実験の待ち時間のコーヒーブレイク中、疲労感を漂わせた教授と対面しなければならない。

そんなとき、できた先輩はお茶室に溜息をつきながら入ってくる教授にすかさず「おつかれさまでーす!」と疲れを汲み取る姿勢を見せる。

休んでいることへの批判をかわすと共に、アピール満載の教授への気遣いを示す高等テクニックである。

この溜息というのは、「オレ様は長時間に亘る会議をやってきたんだ」という意味を含んでおり、「おつかれさまでーす!」から会話(というより愚痴)が出始めたらしめたもので、その後は学生たちの休憩に対してではなく、会議に対する文句一辺倒になる。

この愚痴中は、オーバーな感じぐらいに相槌を打っておくことがポイントらしく、その後の教授の態度が和らぐそうだ。