ブーム 2

次のブームは「研究室名シール」である。

 

今回のブームもそうであるが、教員のふっとした思い付きで始まる。

 

トイレにタイマーが置き忘れていたことがあったらしいが、それが発端となっているのかはっきりとした理由を告げられぬまま指示だけを受けた。

 

テプラを用いて研究室名が書かれたシールを大小作り、大型の実験機器はもちろん、椅子や実験台、そして小型のピペットマンやピンセットなどにも貼っていった。

油性マジックにも貼ってあるので、インクがなくなって捨てるとき、ごみ箱に落ちていくマジックを見ながら不思議な感情が湧いてくる。

さすがにチップ一つひとつには貼っていないが、それでも実験台を見回すと10、20のシールが「〇〇〇××学研究室」と主張するのは異様な光景である。

 

気が付くと私物にまで貼られているので注意が必要である。

 

この研究室では、思考や時間ばかりでなく、物品まで奪われかねない。