実験ノート
実験の方法や結果を書き込んでいくのが実験ノートである。
実験ノートの書き方には非常に個性が出る。
その個性は単に文字の綺麗さだけでは語れない。
実験ノートの書き方についての参考書が販売されているぐらいだから、
奥深いものなのだろう。
以前はそんなに重要視されていなかったが、STAP細胞の出現と共に
「陽性かくにん! よかった」等と記された実験ノートが公開されてから
注意が向くようになった。
特にうちの研究室では、教授の知り合いの研究室の方法がテレビ放映されると、
それ以上を目指すかのようにチェック体制が整えられた。
まず、ノートに貼られた紙には教授の割印が押され、
次に、ページ毎にページ下にも確認者として教授の名前と日付が押印される。
ここまでは驚かず、研究室の特徴を示しているのが、できた余白についてだろう。
大きさに合わせて「〆」と書けば済むことでも、
外観を大事にする研究室ではきちんと専用の「以下余白」スタンプを特注した。
スタンプができた頃は、喜々して「以下余白」と教授は押し続けた。
最近では実験ノートが何冊になったかどうかが話題に挙がった。
実験ノートが1冊しか書いていない人より10冊書いた人の方が、
実験量が多いのは間違いないだろう。
それでも、この自慢は論文として世に出て初めて意義が出てくるもので、
論文がない中での冊数自慢は実験が下手か、
寄り道が多いことを自ら晒していることに他ならない。
書いた実験ノートの数ではなく、
投稿した論文の数を比較できる時が研究室には訪れるのだろうか。