セミナー 1

毎週一回、研究室のセミナーが開催され、担当になっている学生は最新の論文を紹介する。

いわゆる、ジャーナル・クラブである。

これは、どの研究室でも行われている一般的なことではあるが、うちの研究室ではセミナーに臨むまでに数多くのルールが存在するから厄介である。

 

まず、選ぶ論文は関連疾患に関するもののみで、公表から6ヶ月以内なければならない。また、掲載されている雑誌のインパクトファクター7以上とかなり限定される。

これらの条件を満たす論文を選び、教授にお伺いを立てるのである(このとき論文に補足データがあれば忘れずに送る)。

問題がなければ次のステップに行かれるのだが、往々にして「面白くないから、こちらにしてください」と却下される。連続で却下されると、初めから勝手に選んでくれよ、と心の中で誰もが言う。

次は、論文を一通り読むことになるが、「一ヶ月前までに、しかも実験のペースを落とさずに」という指令が下っている。一ヶ月前に読み終えても忘れてしまうというのに。

そして、セミナーの一週間前ぐらいになってスライドを作り始めるのだが、完成したら先輩に見てもらい、承認を得なければならない。ちょっと前までは、教授に送ってチェックしてもらっていたのだが、余裕がなくなってきたからだろう、「先輩へ送り、先輩はそれを確認しなさい」という指示に変わった。

セミナーまでにスライドを印刷するのであるが、教員に配布するものはA4でカラーの両面印刷、学生に配布するものは印刷室の印刷機でモノクロと決まっており、両面印刷は捲った時に8スライドが同じ向きに並ぶように印刷しなければならない。

 

ここまでしてやっとセミナー本番になるのだが、もちろんセミナー時もルールの嵐が吹き荒れている。